岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。
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お話を伺った方々
株式会社新生メディカル
池田営業所 所長 大須美佐子さん
瑞穂営業所 ヘルパー 高浜千春さん(左) -
はじめに
岐阜県の65歳以上人口は2020(令和2)年時点で約60万人、高齢化率は30.4%。高齢化率は伸び続け、2050(令和32)年には40%に達すると推計されています(「第9期岐阜県高齢者安心計画」より)。これに伴い、高齢者単独世帯の増加も止まりません。どうすれば、高齢者の方々が一人暮らしや要介護状態になったとしても、住み慣れた地域で自分らしく安心して暮らし続けることができるか。岐阜県では、その体制づくりのカギとなる在宅介護サービスの強化に力を注いでいます。
施策の1つとして、2025(令和7)年度から新たに「岐阜県訪問介護等サービス提供体制確保支援事業費補助金」がスタートしました。これは、県内の訪問介護等サービス事業者に対して、人材確保や経営安定化を後押しする事業。大きく分けて、以下の4つの柱から構成されています。
- (1)経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援
- (2)新たに「短時間巡回型訪問介護(20分未満の身体介護)」を実施する事業所の環境整備等の支援
- (3)経営改善の支援
- (4)登録ヘルパー等の常勤化の促進の支援
今回は、この補助金を活用して、より働きやすい職場づくりに取組む株式会社 新生メディカル様を取材しました。
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訪問介護のイメージをポジティブなものに変えていきたい
大須美佐子さん
新生メディカルは、岐阜県内に6つの営業所を持ち、訪問介護などの居宅介護サービスを提供している会社です。ヘルパーは正職員・パート合わせて150名。20代から80代まで幅広い年齢の職員が活躍していますが、なかなか就職希望者が増えず、働き手の高齢化が進んでいる状況にあります。
そもそも訪問介護の人材不足は、施設系の介護職員不足と比べて、とても厳しいと言われています。訪問介護はご利用者の生活環境に合わせた身体介護や生活支援を1人で行うという高い技術が求められるため、ハードルが高く感じてしまう人もいるのでしょう。でもそれは、視点を変えれば「ご利用者に深く寄り添える」「介護の専門性や臨機応変な判断力を磨いていける」と言い換えることができます。また、訪問介護の仕事は「ライフステージに合わせた多様な働き方を選択できる」「日常生活で培った家事スキルやコミュニケーション能力が生かせる」「年齢や経験の有無に関係なく挑戦しやすい」など、メリットもたくさんあります。訪問介護の仕事に対するネガティブなイメージをポジティブなものに変え、一緒に働く仲間を少しでも増やしていきたい。そうした思いから、今回の補助金の活用を申請させていただきました。
当社が補助金を活用して取組んだのは、4つの事業の柱のうち、(1)の「経験年数が短いホームヘルパー等への同行支援」と(3)の「経営改善の支援」の2つです。(1)については、ベテランのヘルパーが新人ヘルパーに対し、訪問前後に情報共有や実技指導を行うほか、ご利用者のご自宅へ同行して見守りやアドバイスを行っています。もともと実施している取組みでしたが、補助金を職員1人につき30回まで手当として充当できるため、以前は3回程度だった同行回数を増やすことができ、新人ヘルパーにとっての安心感につながっていることを実感しています。
(3)については、介護分野専門のコンサルタントを起用し、管理職10名を対象とした研修を計4回実施しました。研修の最も大きな収穫は、訪問介護の社会的意義や自社の良いところを再認識できたことです。一方で、会社の持続可能性を確保するためには課題が多くある現実と向き合う機会にもなりました。今後は、各拠点の地域性を考慮しながら、生産性向上や地域のケアマネジャーさんなどへ在宅介護の普及に向けての営業活動に注力していく考えです。
訪問介護は高齢者の方々の在宅での生活を支えるために、なくてはならない存在です。今回のような補助金を活用することが、その灯火をずっとつないでいく1つの手立てになるのではないでしょうか。組織として新しいことに取組むきっかけにもなるので、同業他社の方々にはぜひ活用をおすすめしたいですね。そして、一緒に訪問介護の価値を高めていけたらいいなと思います。 -


▲新人ヘルパーに対する実技指導の様子
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「1対1で支える」不安を「チームケア」で乗り越える
ヘルパー 高浜千春さん
私が新生メディカルに入社したのは1年前。親の体調が一時的に悪くなり、正しい在宅介護の知識を身に付けたいと思ったことがきっかけでした。
現在は要支援1から要介護5の方まで幅広い状態のご利用者を担当しています。支援内容は入浴介助や食事介助、排泄介助、デイサービスの送り出し、掃除、買い物など、さまざま。ご本人の状態や希望を確認させていただくことはもちろん、ご家族とのコミュニケーションも大切にしながら支援内容を決め、30分や1時間といった単位で向き合えるのが訪問介護の仕事の特徴です。
実際に働いてみて、いい意味でギャップがあったのは「訪問介護はチームケア」だということ。入社前は、ご利用者をずっと1対1で支えるのが訪問介護の仕事だと捉えていて、そのことを少し不安に感じていました。でも、新生メディカルでは、1人のご利用者に対して2〜5人のヘルパーがチームを組んでケアに取り組みます。訪問時は1対1で支えるのですが、日頃からチームメンバーと細かく情報共有をしますし、現場で判断に迷うことがあった時はサービス提供責任者に相談ができるので、プレッシャーや孤独感を味わうことはありません。また、入社してまもない時期には先輩が5回同行してくださり、不安が大きく和らぎました。
入社してからの1年間はあっという間でした。まだまだ勉強中の身ですが、ご利用者の表情から、その日の体調やご気分がわかるようになり、自分の成長を感じています。
今の私に言えるのは、思い切って「介護の仕事」の扉を開けると、素敵な出会いや経験が待っているということ。こんなに笑顔や「ありがとう」の言葉があふれていて、学びもある仕事は他になかなかないんじゃないかなと思います。興味のある方はぜひ、扉を開けてほしいと願っています。 -


▲訪問前のチームミーティングの様子
「岐阜県訪問介護等サービス提供体制確保支援事業費補助金」
岐阜県では、人材不足が喫緊の課題である訪問介護等のサービスについて、人材確保体制の構築による安心して働き続けられる環境整備に向けた取組みや事業所の経営改善に向けた取組みに対し、補助金を交付します。本事業は令和8年度も継続する予定ですので、詳しくはお問い合わせください。
お問い合わせ
岐阜県 健康福祉部 高齢福祉課
TEL:058-272-8289(直通)
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株式会社新生メディカル(グレード1)
本部所在地
〒500-8856 岐阜県岐阜市橋本町2-52TEL 058-266-7710
FAX 058-266-7720 
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