岐阜県の介護業界の未来を担うのは、
志を持った学生、現場で働くプロフェッショナルのみなさんの存在です。
そうした方々に着目し、あらゆる角度から、
介護の仕事と学びについて考えていきます。
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お話を伺った方々
岐阜県 健康福祉部 高齢福祉課
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はじめに
少子高齢化が急速に進み、介護事業所では人材確保や生産性向上など、さまざまな経営課題に直面している状況があります。介護事業所は小規模なところが多いため、それらの課題が深刻化していくと、将来的に事業所が単独での経営を維持することが難しい事態も招きかねません。そこで、岐阜県では施策の1つとして、2025(令和7)年度から「岐阜県協働化・大規模化等による職場環境改善事業費補助金事業」を開始しました。
同事業を活用して得られるメリットや事例について、岐阜県 高齢福祉課の担当者が解説します。
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最大1200万円のグループ補助
「岐阜県協働化・大規模化等による職場環境改善事業費補助金事業」は、県内に介護事業所を持つ法人が代表となり、県内で福祉サービスを提供する複数の法人が業務の効率化や施設・設備の共同利用、人材確保、人材育成などに「協働」で取り組む際の経費を補助するというものです(最大1200万円・補助率4/5)。そうした取組みの先に、法人の合併などによる事業所の増設や新ビジネスの創出といった「大規模化」に発展していく方向を想定しています。
事業名の響きから、少しハードルが高い印象をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、協働する事業者グループの構成にあたって、厳密な契約書や取り決めは必要ありません。一番の目的は「地域の事業者様同士がゆるやかに連携して、共通の課題解決に向けて動く」こと。「事業所同士が近い」「顔見知り」など、日常的な関わりの延長線上でぜひトライしていただきたいと思います。あるいは「やりたいこと」が先にあって、それを実現するための仲間を地域の中で探すという順番で取り組むのも有効でしょう。 -

期待できるメリットや効果
「協働化・大規模化」によって期待できるメリットや効果は多くあるのですが、主なものは以下の4つです。
1.人材確保・定着がしやすい
単独での実施が難しいイベントなどを行えるようになり、採用活動や職員のキャリアパス形成がしやすくなります。
2.コストを削減できる
資材や物品、ICT機器などの一括仕入れ、共同研修などを実施することにより、コストを削減することが可能です。
3.他事業者との交流機会が増える
他事業者との情報交換が自事業所の振り返りにつながり、より良いケアや職場のあり方を考えるきっかけになります。
4.地域でのブランド力が向上する
協働していることをアピールすることで、地域住民からの信頼性向上や求職者への訴求力強化を図ることができます。
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2025年度の採択は7件
2025年度は事業開始初年度ということもあって、採択数が想定よりもやや少なく7件でした。しかし「SNS広告などを活用した人材募集を合同で実施」「除雪機を共同購入し、シェアリング」など、さまざまな活用がなされました。本事業の目的である「地域の事業者様同士がゆるやかにつながり、課題解決に向けて動く」一助となったことを担当者としてうれしく思っています。
本事業は2026年度も実施される見込みのため、岐阜県高齢福祉課では引き続き申請に向けたご相談を承っています。ご検討中の内容が補助対象になるかどうかや、最適な組み立て方はもちろん、アイデア段階でのお問い合わせも歓迎しますので、お気軽にご連絡ください。 -
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事例紹介
社会福祉法人千寿会(瑞浪市)
連携先:有限会社エスランケア(瑞浪市)岐阜県瑞浪市で特別養護老人ホームをはじめ、複数の介護施設を運営する社会福祉法人千寿会様では近年、外国人材の雇用が進んでいます。彼らは貴重な戦力ですが、日本語能力がN4(基本的な日本語が理解できる)程度の入社間もない職員の場合は、介護現場で求められる利用者様との十分なコミュニケーションが難しい場面も生じているといいます。また、育成後にベテランクラスや頼れる存在となった外国人材が都市部へ流出してしまうケースも課題になっていました。一方、事業者様にとって、日本語教育の機会をしっかりと確保することは容易ではありません。そうした中、千寿会様は「岐阜県協働化・大規模化等による職場環境改善事業費補助金事業」の存在を知り、近隣でグループホームを運営する有限会社エスランケア様に声をかけて事業者グループを構成。合同で日本語研修に取り組むこととなりました。同様の課題を抱えるエスランケア様とは、利用者様の住み替え対応や地域の勉強会などを通じて交流があったそうです。
2025年11月からスタートした合同研修には毎回、両社の外国人介護職員の方々が積極的に参加。交流も楽しみながら学習に励んでいるといいます。千寿会の担当者様は合同研修の効果について「単に日本語能力の向上だけではなく、人間関係が限定的になりがちな外国人介護職員にとって新たなコミュニティづくりのきっかけになり、モチベーションの向上や職場への定着につながると期待しています。協働することで得られる気づきは予想以上に大きかったので、今後もぜひ他法人さんと接点を持ち、協力し合える関係性を積み重ねていきたい」と話していました。 -

岐阜県協働化・大規模化等による職場環境改善事業費補助金事業:複数の法人が事業者グループを構成し、経営の協働化・大規模化等を通じた職場環境改善に資する取組みを行った際、その経費の一部を助成します。補助限度額はグループを構成する法人数1につき120万円とし、訪問介護事業所を経営する法人の場合は30万円を加算。構成する法人数に制限はありませんが、1事業者グループあたり1,200万円が上限です。
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お問い合わせ
岐阜県 健康福祉部 高齢福祉課
〒500-8570 岐阜市薮田南2丁目1番1号TEL:058-272-8289(直通)
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